一人暮らしの高齢者が増加する理由と家族ができる対策について|【高齢者の一人暮らし実情】
2022-08-09少子高齢化や核家族化などが相まって、一人暮らしの高齢者人口が増加しています。以前は、地域における近所付き合いなども活発に行われていましたが、最近ではそういった近所付き合いはおろか、家族関係ですら希薄なケースが都会を中心に増えてきており、孤独死の数も増加傾向にあるのが現状です。
こうした状況に対して、社会はどのように対処すべきなのでしょうか。
今回は、高齢の両親と離れて暮らしている人たちに向けて、高齢者の一人暮らしが増える背景や理由、リスク、対処法をご紹介します。
【目次】
- 増えている高齢者の一人暮らし
- 高齢者が一人暮らしする理由とは
- 高齢者の一人暮らしが引き起こす問題
- 高齢者の一人暮らしを支えるには
- 自分らしく暮らせる高齢者住宅を選ぶ
- まとめ
増えている高齢者の一人暮らし
社会構造の変化によって、一人暮らしの高齢者は今後ますます増加の傾向をたどると予想されます。
ライフスタイルや仕事の変化によって、核家族化と呼ばれる、夫婦や親子だけで構成される家族がほとんどになりました。高齢者の価値観にも変化が起こり、「老後は子供たちに頼らず自立したい」という考えが主流となり単身高齢者が右肩上がりで急増しています。
ニュースでも取り上げられるオレオレ詐欺や孤独死など、単身高齢者がターゲットとなる犯罪や社会問題も存在し、単身高齢者の暮らしは、個人だけではなく社会全体にも影響を与えると言えます。
●一人暮らしをしている高齢者の人数の推移
65歳以上の一人暮らし高齢者は、男女ともに増加傾向にあります。
内閣府 の「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)」によると、1980(昭和55)年には、男性が約19万人、女性が約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3パーセント、女性11.2パーセントでしたが、2010(平成22)年には、男性が約139万人、女性が約341万人、高齢者人口に占める割合は男性11.1パーセント、女性20.3パーセントという結果になっています。
中でも最も比率が大きいのは、配偶者と死別する確率の高い75 歳以上の高齢女性です。
さらに、国民の3人に1人が65歳以上になるといわれている2025年には、男性が約230万人、女性が約470万人、高齢者人口に占める割合は男性14.6パーセント、女性22.6パーセントにまで増加する見込みです。
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●一人暮らし高齢者の実態
高齢者のグループ活動への自主的な参加状況は、内閣府 の「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」によると、1993(平成5)年以降増加傾向にあり、2013(平成25)年には、60歳以上の人の61.0パーセントが何らかのグループ活動に参加したことがあるという結果となっています。
活動内容は、「健康・スポーツ」が33.7パーセント、「趣味」が21.4パーセント、「地域行事」が19.0パーセントといった順番になっており、特に近年「健康・スポーツ」の増加が顕著です。
高齢者の会話(電話やEメール等も含む)の頻度は、内閣府の「平成23年度 高齢者の経済生活に関する意識調査結果(全体版)」によると、単身世帯を除く世帯の場合「毎日」が9割以上です。しかし、単身世帯で毎日人と会話しているのは75.8パーセント程度であり、「2日~3日に1回」が14.8パーセントとなっています。
人付き合いの程度に関しては、内閣府 の「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」によると、60歳以上の高齢者の場合、「付き合っている」(「よく付き合っている」と「ある程度付き合っている」の総計)と答えた人は、女性80.7パーセントに対して男性73.8パーセントとなっています。男性のほうが他人との交流が少なく、頼れる人がいないという傾向が読み取れます。
高齢者が一人暮らしする理由とは
●頼れる人がいない
何らかの理由で家族を頼れない、すでに家族は他界しているなど頼れる人がいないことが挙げられます。
内閣府の「平成23年度 高齢者の経済生活に関する意識調査結果(全体版)」によると、「病気の時や、一人ではできない日常生活に必要な作業の手伝いなどについて頼れる人の有無」という質問については、60歳以上の単身高齢者の場合、「別居の家族・親族」が66パーセントだったのに対し、「いない」と答えた人が12.3パーセントも存在しています。
何らかの理由で家族と別居している高齢者の中には、困ったときに頼れる人がいない人もいるのです。
●今の生活に不満がない
また、生活環境に満足している、経済的に一人暮らしが可能で困っていない、慣れ親しんだ場所から離れたくないなど、今の生活に不満がないかたも少なくありません。
高齢者の経済状況に関して、内閣府の 「令和2年版 高齢社会白書(全体版)」によると、「経済的な暮らし向きに心配ないと感じる60歳以上の高齢者」は74.1%で、約7割という結果でした。つまり、多くの高齢者は現状の経済的な暮らしに満足しており、このまま一人暮らしを続けても良いと感じていることがわかります。
その中でも80歳以上の高齢者は、80.0パーセントと非常に高い割合になっています。
また、高齢者世帯の平成25(2013)年の年間所得は300.5万円で、全世帯平均の528.9万円と比較すると半分程度です。しかし、世帯人員一人当たりで見てみると192.8万円であり、全世帯平均である205.3万円と比較してもそれほど大きな差はありません。
60歳以上の高齢者に対して、今度は住まいに関する質問をしたところ、高齢者の約8割が現在の住居に満足しているという結果が出ています。
回答の内訳は、持ち家で79.1パーセント、賃貸住宅で56.6パーセントであることから、自分の住まい環境に満足している人の多くは、持ち家に住んでいることがわかります。
ちなみに、65~74歳の男性で52パーセント、女性で53.1パーセント、75歳以上の男性で58パーセント、女性で60.6パーセントと、年齢が上がるほど高くなり、半数以上の高齢者は現在の居住環境に不安を感じていないことがわかります。
また、内閣府の「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果(全体版)幸福感、不安に関する事項」によると、65歳以上の高齢者に対し、「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として、現在どの程度幸せと思うかを質問したところ、平均点が「6.59」という結果になりました。
さらに年齢別にみると、80歳以上で平均点は「6.97」と最も高くなっています。
高齢者の一人暮らしが引き起こす問題
高齢者の一人暮らしには、認知症の進行によって引き起こされるトラブルや孤独死、生活意欲の低下などの問題があります。
一人暮らしになると認知症や体調不良は、家族や地域の人の協力が無ければ気づかれずに進行してしまいます。そのままにしておくと、ご近所トラブルや孤独死など単身高齢者によくある事態に陥ってしまう可能性が高くなるのです。
離れて暮らす家族が毎日電話で安否を確認するのが理想ですが、頼れる人が居ない場合は見守りサービスなどの介護サービスを利用して社会とのつながりを維持しておきましょう。
一番の解決策は家族で暮らすことですが、それが叶わない人はあらゆる介護サービスを一緒に検討して申し込むなど、万全の体制を整えておきましょう。
●認知症の進行
一人暮らしの高齢者が認知症にかかると、地域の約束事を守れなくなり、近所の住人とトラブルになることが懸念されます。例えば、症状の悪化に伴いごみ出しのルールを守れなくなったり、悪いことと認識できず大声で騒ぎ、騒音の苦情が発生したりすることがあります。
最悪の場合、今住んでいる部屋からの退居を余儀なくされたり、犯罪に発展したりするケースもあるため、認知症高齢者を一人きりで生活させるのは問題が大きいといえます。
厚生労働省の「都市部の高齢化対策の現状(平成25年)」によると、要介護認定データによる認知症高齢者数は、2010(平成22)年9月末で280万人です。
これを、前述した同年度の高齢者人口全体に占める一人暮らしの割合(31.4パーセント)で見ると、約88万人です。
さらに2025年には、認知症高齢者は400万人で、37.2パーセントの高齢者が一人暮らしになると予測されているため、一人暮らしの認知症高齢者は約150万人にも及ぶ見込みです。
●増加傾向にある孤独死
高齢者の一人暮らしについて考える上で、孤独死もまた避けられない大きな問題の一つです。
東京都福祉保健局 東京都監察医務院が行った調査結果「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」によると、東京23区で65歳以上の高齢者が孤独死した数の推移は、2003(平成15)年は1,441人であるのに対し、2012(平成24)年は2,727人と、およそ倍に増加しています。
●生活意欲の低下
高齢者は、親、兄弟姉妹、パートナーとの死別や、職を離れることにより社会的立場をなくし、加齢によって身体的にも不安が出てきます。これらの環境の変化により、他者との関わりが少ない方は、意欲が低下しやすい傾向にあります。
定年を迎え第二の人生を歩もうと張り切っている人も多い世代ですが、仕事をしなくなった途端に社会との関わりが薄くなり、やりがいや生きがいを感じる機会がグンと減ると、認知症の進行や詐欺などの犯罪を含めた今までに遭遇したことの無いトラブルに見舞われ、前向きな姿勢も持てなくなってしまいます。
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高齢者の一人暮らしを支えるには
●家族ができること
状況にもよりますが、家族ができることの一番は「日頃から関わりを持つこと」です。自分にも家庭がある、仕事があるという理由で頻繁に会いに行くことが難しい場合でも、「見守りサービス」を活用することで日常的な関わりを持つことができるようになります。
特に、認知症がある高齢者は、腐っているものを食べてしまったり、暑くてもエアコンを使わずに脱水症になってしまったりするおそれがあります。
そのような事態を回避するには、介護施設や訪問介護などのサービスを利用して、介護の専門家が毎日、あるいは定期的に接触するような状態をつくることが大切です。
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また、高齢者が元気に動けるうちは、働くことで社会との接点を持つことができます。身体的な事情でそれが難しいようであれば、サークルやボランティア活動、自治体といったグループ活動に参加するよう、家族が促してあげると良いでしょう。
●社会ができること
高齢になっても働けるように、国や社会にも高齢者を積極的に雇用する動きが出ています。厚生労働省の「平成28年『高年齢者の雇用状況』集計結果」によると、2016(平成28)年における65歳以上の常用労働者数は増加傾向にあります。
65歳の定年制を廃止した企業の数は、従業員数31人~300人規模の「中小企業」で3,982社(前年より137社増)、従業員数301人以上規模の「大企業」で82社(前年より17社増)という結果が見られます。
また、66歳以上の継続雇用制度を導入した企業の数においては、中小企業で7,147社(前年より633社増)、大企業で297社(前年より52社増)、70歳以上まで働ける企業の数は、中小企業で30,275社(前年より2,281社増)、大企業で2,203社(前年より246社増)という結果になっています。
雇用以外では、住民同士がお互いに助け合える地域づくりを行うために、2012(平成24)年の介護保険法の改正から、「見守り」などの生活支援実施が、国や地方公共団体の責務として規定されています。
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今後ますます高齢化が進むと予想されることから、見守りサービスや介護施設の種類と数を充実させていく必要があるでしょう。一人暮らしをしている高齢者が社会との接点を持ち続けられるよう、グループ活動を行いやすくするための体制や環境作りも課題です。
自分らしく暮らせる高齢者住宅という選択
地域や民間の見守りサービスには、郵便や荷物の配達員が高齢者の家に立ち寄って声掛けしてくれるものや、カメラやセンサーなどを使用して、異常事態が起きた場合に検知してくれるタイプなど、さまざまな種類がありますが、見守りサービスもできることには限りがあります。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった「高齢者住宅」は、専門の介護スタッフが常に高齢者の健康管理等を行ってくれるため、様々なリスクを下げることが可能です。
レクリエーションや体操、趣味のサークル活動などを行える施設もあり、社会との接点も持ちながら身体的にも精神的にも健康に過ごすことができます。
まとめ
今後、社会が高齢者を孤立させないことがとても大切になります。
仕事や地域活動、ボランティアなどを通して社会とのつながりを作り、周囲と信頼しあえる関係性を築いていかなくてはなりません。
最近では65歳を過ぎても若々しくアクティブなかたも多いため、一括りに「守られる側」としてしまうのではなく、この時代に合わせた変化で高齢者の雇用を増やす、介護施設やサービスの充実など、ライフスタイルに合わせた人生の選択ができる社会が求められています。
2025年には3人に1人が高齢者になる時代が確実にやってきます。この現状を打破するためには若い世代の協力と理解が欠かせません。負担の先送りなどの課題も残っているので、全世代の人々の暮らしや尊厳が守られる社会が必要なのです。
地域や自治体だけでなく国を挙げて高齢者社会に向けた取り組みがすでに始まっています。
まずは身近な人への声掛けや離れて暮らす家族への電話やメールなど、コミュニケーションを習慣化していくことが大切です。
\ピースサインとは/
◆離れて暮らすご家族の今日の様子が通知されるアプリです
◆スマートフォンだけあれば簡単に始められる見守りサービスです
◆いざという時(未応答時)はGPS機能で確認が可能
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高齢の親と離れて暮らしていると、傷病発生、ヒートショック、熱中症、認知症など心配になる場面がたくさんあると思います。そんな時は見守りサービスの検討が必要です。数多く存在する見守りサービスの特徴と比較し、自分たちにあった見守りサービスを選ぶ事をおすすめします。「見守りサービスとは?」、スマートフォンアプリやセンサー設置するもの、人が訪問するものまで、わかりやすくご紹介します。またその中でアプリ型見守りサービス「ピースサイン」が選ばれている理由をお伝えいたします。
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